「まんが道」といえば、もはや疑う人もいない名作です。
藤子不二雄A先生が自分の体験をもとに、
マンガに青春を燃やした若者たちを、
自伝的に描いた作品です。
しかし「自分の体験をもとに」という所が
実はポイントで、結構フィクション入ってるんですよね。
だからまんが道を読んで「あの作品にはこんな裏話があったのか」とか
「あの作家さんはこういう人生を送っていたのか」と思ってしまうのは、
実はかなり強烈に危険なことでもあります。
特に藤子不二雄の二人、藤本弘と安孫子素雄はそれぞれ
「才野茂」と「満賀道雄」という偽名になっているのでまだ
いいんですが、それ以外の作家さんたちは実名で出てきていて、
そこが時に誤解を招いてしまっているのかな、と最近良く思います。
特にトキワ荘の兄貴分的存在だったテラさんこと寺田ヒロオさんは、
本人による自伝もなく、また研究者も少ないうえに、
後に「絶筆宣言」をしたという部分が取り沙汰されて、
割とセンセーショナルに受け止められがちです。
そこにこの「まんが道」でついたイメージが上乗せされてしまっていて、
一体本人は何をどう考えていたのか、というのがまるで見えてきません。
特に亡くなったときのエピソードが強烈なので、
余計に色眼鏡で見られがちだと思います。
そうした風潮に「まんが道」が一役買っているのは、
否定しようがない事実なんですよね。
「まんが道」はあくまでも「事実をもとにしたフィクション」であり、
藤子A先生の視点から語られている、という事は
忘れないようにするべきだと思います。
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